産業医とは?

▼産業医

産業医の必要性
産業医とは…
産業医の選任
産業医の要件
産業医の職務
専属産業医と嘱託産業医
産業医の守秘義務
産業医と医師の違い
産業医の探し方
長時間労働者への対応
従業員が49名以下の企業の場合
地域産業保健センター

▼産業医に関する法令及び通達

労働安全衛生法(抜粋)
労働安全衛生法施行令(抜粋)
労働安全衛生規則(抜粋)
通達

▼参考資料など

参考資料など





 

産業医の必要性

近年、
・労働者の高齢化
・終身雇用制の崩壊
・IT化に伴う労働内容の変化
・労働者の健康状態の悪化
・様々なストレスの増大
など、労働環境が大きく変化し、心身の状態が悪化(特にメンタル面)している労働者が急増してきています。

労働者が、心身ともに健康で、健全に働くことができるようになることは、作業効率の向上につながり、事業者と労働者のどちらにとっても、とても大切なことです。

労働者が、体調不良で休んだり休職したりすると、他の労働者の心身の負担が大きくなり、更なる体調不良者が出現する可能性が高くなります。
顧客に迷惑をかけてしまうと、企業自体の信用に関わります。

また、
・糖尿病・高血圧症・高脂血症などの基礎疾患のある労働者が過度な労働を継続して急死する「過労死」
・過労やストレスが原因となる「自殺」
などが起こってしまうと、有能な人材が失われるだけでなく、遺族から損害賠償などの訴訟を起こされる可能性もあります。

事業者は、リスクマネジメント、コンプライアンスの点からも、労働者の心身の状態を健全に保ち、法的に産業医を選任しておくことがより必要となってきました。
事業規模や内容に応じて適切な産業医を選ぶことは、とても大切なことです。

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産業医(さんぎょうい) = Occupational Health Physician

産業医とは、企業等において労働者が、健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるように、専門的な立場から健康管理・指導・助言などを行う医師のことです。労働安全衛生法により、一定規模の事業場には、産業医を選任する義務があります。

労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行う義務があります。
産業医学の実践者として、産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し、労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。

産業医を選任することで、
・労働者のより良い健康管理
・衛生教育などを通じ職場の健康意識が向上
・職場における作業環境の管理などについて専門家の助言が可能
など、健康で活力ある職場づくりに大きく役立ちます。

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産業医の選任

職場において労働者の健康管理等を効果的に行うためには、医学に関する専門的な知識が不可欠なことから、常時 50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。

事業場の規模に応じて、以下の人数の産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。
・ 労働者数50人以上3000人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
・ 労働者数3001人以上の規模の事業場 ・・・ 2名以上選任

また、常時1000人以上の労働者を使用する事業場と、下記の業務(労働安全衛生規則第13条第1項第2号)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。
※ 専属産業医と嘱託産業医に関しては下記を参照

事業者は、常時50人以上の労働者を使用するに至った時から14日以内に産業医を選任する必要があります。
産業医を選任した際は遅滞なく所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります(安全衛生法 第13条、労働安全衛生法施行令 第5条、労働安全衛生規則 第13条 第1項及び2項)。

産業医に欠員が出た場合も、同じく14日以内に選任し遅滞無く所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません(安衛則様式第3号による届出)。

 「選任」して終わりではありません。所轄の労働基準監督署長への届出まで必要です。

※ 労働安全衛生規則第13条第1項第2号
常時1000人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、その事業場に専属の者を選任すること。

・多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
・ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
・土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・異常気圧下における業務
・さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
・重量物の取扱い等重激な業務
・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・坑内における業務
・深夜業を含む業務
・水銀、砒素、黄リン、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
・鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素
 青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
・病原体によって汚染のおそれが著しい業務
・その他厚生労働大臣が定める業務

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産業医の要件

■ 産業医は、医師であって、以下のいずれかの要件を備えた者から選任しなければなりません。
(労働安全衛生法第13条第2項、第14条第2項)

(1) 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、都道府県医師会、産業医科大学)が行う産業医研修を修了した者
(2) 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、
   厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
(3) 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
(4) 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者
(5) 厚生労働大臣が定める者

■ 産業医研修
産業医の要件を確保するために基礎研修会を受講し、下記単位数以上を取得することが必要です。

前期研修: 14単位以上
基礎研修会 実地研修: 10単位以上 合計50単位以上
後期研修: 26単位以上

上記の単位を取得することにより、日本医師会認定産業医制度に基づく「認定産業医」の資格が得られ、同時に法令に定める産業医の要件を備えたことになります。

単位の取得は60分の研修が1単位(0.5単位ごと)ですが、1回の産業医研修で取得できる単位数はまちまちです。
通常は1日の産業医研修で取得できるのは1〜数単位ですが、産業医科大学(北九州市)をはじめ一部の大学医師会では6日間程度で50単位を一括して取得できる研修会を開催しています。

■ 産業医の更新
日本医師会認定産業医制度に基づく「認定産業医」には、更新制度があり、5年間で20単位(更新研修1単位以上、実地研修1単位以上、専門研修1単位以上)を取得することにより、更新されます。

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産業医の職務

産業医の職務は、「総括管理」「健康管理」「作業管理」「作業環境管理」「労働衛生教育」の5つの実務に分類することが出来ます。

■ 産業医の具体的職務
(1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置
(2)作業環境の維持管理、作業の管理等、労働者の健康管理に関すること
(3)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
(4)労働衛生教育に関すること
(5)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること

■ 勧告
産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。また、労働者の健康障害の防止に関して、総括安全衛生管理者に対する勧告または衛生管理者に対する指導、助言をすることができます。

■ 定期巡視
産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないこととなっています。

産業医の職務はとても広範囲にわたります。
そして、労働者の高齢化、IT技術の進歩などに伴う作業内容の変化、メンタルヘルスや過重労働問題の増加など、職務内容や業務の重要項目も変化していきます。
作業現場、関係法規、行政制度に精通して職務の遂行にあたることは当然ですが、業種や事業場の諸事情などにも精通し、適宜対応することが重要です。
産業保健スタッフと協力したり、事業者の了解や協力を得たり、社会保険労務士など他分野の専門家と連携したりしながら、適切に業務を遂行することが大切です。

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嘱託産業医と専属産業医

■ 嘱託産業医

事業場に、非常勤(嘱託)で勤務している産業医です。
2時間(月1回)勤務の場合が多いですが、事業規模・事業内容・労働者の健康状態などによって様々です。

常時50人以上で999人以下の労働者を使用する事業場における産業医の選任形態です。
(ただし有害業務に従事している労働者が常時500人以上になると専属産業医が必要となります。)

産業医の大部分が嘱託産業医であり、開業医や勤務医が日常診療の傍ら産業医の業務を担っている場合が多いです。

■ 専属産業医

事業場に常勤している産業医です。
産業医として、その事業場における産業医の業務のみに従事します。

事業場に、専属の産業医を
・ 常時1000人以上の労働者を使用する事業場、
  ないし、常時500人以上の労働者を使用する事業場で規則に定められた特定の有害業務を行っている事業場は1人以上

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産業医の守秘義務

社員が健康相談などを産業医に話した場合に、その内容を全て会社(上司)に筒抜けにすると、モラルの低い会社ではリストラの対象となりうる懸念があります。
そのため、産業医が業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処されます(刑法第134条)。

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産業医と医師の違い


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産業医の探し方

大きく分けて、以下の5つの方法があります。

(1) 個人活動の産業医

個人的に活動を行っている産業医に依頼するという方法です。
サイトやブログを持ち日頃の産業医活動を報告、とりわけ産業医の活動で最も中心となる衛生委員会について掲載している産業医がたくさんいます。
こういった産業医をグーグルやヤフーで丁寧に検索し見つけ出すといった手段で探し出し、連絡を取り依頼することも可能です。
他の方法で依頼する産業医と違い積極的であるという点では、非常に魅力的でもあります。
ただし探し出す苦労は並大抵のものではありません。

(2) 地元の医師会

みなさまの事業場がある地元の医師会を調べ、連絡を入れ産業医を依頼する方法です。
地元というのは市区町村レベルになります。
例えば、東京都中央区に事業場がある場合は中央区医師会に、同じように神奈川県大和市の場合は大和市医師会というようになります。
医師会の名前に市や区が入るかはその地域地域で違うようです。
グーグルやヤフーで検索をかけると直ぐに出てきますので、意外と探すのは簡単でしょう。
地元の医師会に頼むわけですから、近所のお医者さんに産業医を依頼できるというメリットがある一方で、産業医の選定の際にあまり細かな要望は受け入れられず、機械的に決められてしまうというデメリットがあるようです。
産業医に支払う給料は事業場の従業員数によって設定されているケースがほとんどですが、産業医によっても違いがあるようですので交渉してみましょう。

(3) 健康診断や巡回健診の実施機関

どの事業場でも年に1回、医療機関や巡回健診で定期健康診断を行い従業員の健康管理を行っていると思いますが、その実施医療機関に産業医をお願いする方法です。
平成20年(2008年)からメタボ健診が始まりました。
40歳から74歳がその対象で、メタボリックシンドロームと判断された場合は、医師や保健師から保健指導を受け改善していくことになっています。
いまだはっきりしていませんが、保健指導を行っているか否かでゆくゆくは保険料などで優遇措置が与えられるなどの施策がとられるようです。
従業員に保健指導を行うことは健康管理の行き届いた事業場を実現する一方、事業場にとってもこのような施策は金銭的なメリットとなります。

健診結果に基づく保健指導なども産業医業務の中で行ってもらうことを目的に、健診機関や巡回健診の医療機関に所属している医師に産業医をお願いします。
そうすることで事業場の健康管理に一定の流れが出来るとともに、メタボリックシンドローム対策で機会や費用を別に負担することもなくなります。
また産業医と健康診断や巡回健診の窓口が一緒になるで、こういった意味でも事業場の担当者にとってメリットとなるでしょう。

(4) 人材紹介業者

人材紹介業者では医師の紹介と同様、産業医の紹介も行っています。
産業医というと以前は特殊なケースとして登録件数も少なく、依頼があってから産業医を探すという問題点がありましたが、現在は解消されているようです。
料金については医師会や健康診断の実施機関に依頼するのに比べ、多少安く設定されていていますので、事業場のランニングコストは削減されるでしょう。
ただし、紹介業ですので他の紹介同様、紹介時に手数料がかかることになります。
人材紹介業者をご利用になられる際には他の方法と違い、イニシャルコストとランニングコストを考える必要が出てきます。
紹介手数料は嘱託産業医で給料の2〜4カ月分、専属産業医ですと年俸の10%程度となっているようです。
ご利用になられる紹介業者にお問い合わせください。

(5) 産業医専門のコンサルタント会社

産業医を事業場に訪問させることを専門に行っている会社があります。
多くが事業場の労働安全衛生管理の全てを請け負い、その中のひとつのサービスとして産業医を訪問させる形式をとっています。
労働安全衛生管理全般を請け負ってもらえますので、衛生委員会の運営から健康診断結果の管理、メンタルヘルス関連の対応なども任せることが出来ます。

コンサルタント形式ですので、産業医の訪問時などにコンサルタント業務担当者に同行してもらい何でも相談することが可能です。
こういった一連のサービスを連携して享受することが出来るのが最大のメリットで、事業場の担当者の方にとって困った時、非常に頼れる存在となります。
メンタルヘルスはこちらの業者、産業医はあちらの業者、健康診断はそちらの業者という手間が省けます。

(6) その他

病院や健康保険組合に依頼
親会社や関連会社の産業医に兼任で依頼
近所の会社の産業医に兼任で依頼
など

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長時間労働者への対応

80時間以上の時間外労働を行った労働者には、産業医(医師)による面談を行った方がいいと思われます。
■ 長時間労働者への医師による面接指導の実施  (労働安全衛生法 第66条の8,第66条の9,第104条)

対象: 全ての事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場は平成20年4月から適用)
● 事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。
(ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)

・ 上記の時間に該当するか否かの算定は、毎月1回以上、基準日を定めて行ってください。
・ 医師は、労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他心身の状況(メンタルヘルス面も含みます。)について確認し、
  労働者本人に必要な指導を行います。
・ 事業者は、面接指導を実施した労働者の健康を保持するために必要な措置について、
   医師の意見を聞かなければなりません。
・ 事業者は、医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、
  作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、医師の意見の衛生委員会等への報告
  その他の適切な措置を講じなければなりません。

● 事業者は、次の(1)または(2)に該当する労働者にも、面接指導を実施する、又は面接指導に準ずる措置を
  講じるよう努めなければなりません。

(1) 長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者(申出を受けて実施)

(2) 事業場で定める基準に該当する労働者
〜事業場で定める基準の例〜
・ 週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超えた労働者及び2〜6か月間の平均で
  1月当たり80時間を超えた労働者全てに面接指導を実施する
・ 週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた全ての労働者に、面接指導を実施する
・ 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者で産業医が必要であると認めた者には、面接指導を実施する
・ 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者に係る作業環境、労働時間等の情報を産業医に提出し、
  事業者が産業医から助言指導を受ける

● 面接指導の事務に従事した者には、その実施に関して守秘義務が課せられます。

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従業員が49名以下の企業の場合

労働者数 49人以下の事業場については、産業医の選任義務はありませんが、労働安全衛生法では、
「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等に、労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならないこと」とされています。

すなわち、
・ 長時間労働者への医師による面接指導の相談(労働者から申し出があった場合)
・ 健康診断結果に基づく医師からの意見聴取
の実施は、労働安全衛生法により事業者に義務づけられています。

従業員の健康管理の基本は、健康診断の実施ですが、会社の規模が小さくなるにつれて実施率が下がる傾向があります。
また、健康診断の結果、何らかの異常な所見のあった従業員の割合は、会社の規模が小さくなるにつれ高くなっています。

心身に異常所見を認める従業員が増加している現状から、従業員に対する適切な対応が必要となってきています。つまり、「従業員が49名以下」の企業でも、産業医による面談指導を行うことが必要なケースが増えてきています。
異常所見のある方には、産業医による健康改善指導を行うことは、企業のリスクマネジメント上、ますます大切なことになってきます。

■ 労働安全衛生法(抜粋)
長時間労働者への医師による面接指導の実施 (法第66条の8、第66条の9、第104条)

対象: 全ての事業場(常時49人以下の労働者を使用する事業場も平成20年4月から適用)

事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければならない。(ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)

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地域産業保健センター

地域産業保健センターは、国の委託事業として都道府県単位に設置されていいます。
労働者数50人未満の小規模事業場の事業者や労働者に対して、次の事業を無料で提供しています。

(1) 医師による健康相談 

● 長時間労働者への医師による面接指導の相談
労働安全衛生法では、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対して、労働者の申出により、事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられています。
長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、疲労の蓄積状況の確認など健康状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた事後措置を講じます。

● 健康診断結果に基づく医師からの意見聴取
労働安全衛生法に定められている健康診断で、異常の所見があった労働者に関して、その健康を保持するために必要な措置について医師から意見を聴くことができます。

● メンタルヘルス不調の労働者に対する相談・指導
メンタルヘルス不調を感じている労働者に対し、医師または 保健師による相談・指導を行います。

● 脳・心臓疾患のリスクの高い労働者に対する保健指導
労働安全衛生法に定められている健康診断の結果、「血中 脂質検査」「血圧の検査」「血糖検査」「尿中の糖の検査」 「心電図検査」 の項目に異常の所見があった労働者に対し、 医師または保健師が日常生活面での指導や健康管理に関する情報の提供などを行います。

(2) 健康相談窓口の開設
健康診断結果に基づいた健康管理、作業関連疾患の予防方法、メンタルヘルスに関すること、日常生活における健康保持増進の方法などについて医師や保健師が健康相談に応じます。
一部のセンター(各都道府県1〜4ヶ所程度)では、休日や夜間にも利用できるよう窓口の開設を行っています。

(3) 個別訪問による産業保健指導の実施
医師等が、訪問指導を希望する事業場を個別に訪問し、健康診断結果に基づいた健康管理等に関して指導、助言を行います。
また、医師が作業場の巡視を行い、改善が必要な場合には助言を行うとともに、労働者から寄せられる健康診断の結果評価等の健康問題に関する相談にも応じます。

(4) 産業保健情報の提供
産業医としての要件を満たす医師、労働衛生コンサルタント、医療機関、労働衛生機関等の名簿を作成し、希望する事業場に情報提供しています。

(5) その他
労働者の健康管理や産業保健に関するご相談を受け付けています。

・ 長時間労働者への医師による面接指導の相談(労働者から申し出があった場合)
・ 健康診断結果に基づく医師からの意見聴取
の実施は、労働安全衛生法により事業者に義務づけられています。

産業保健推進センターと地域産業保健センターとの関係(労働者健康福祉機構ホームページより)

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産業医に関する法令及び通達

労働安全衛生法(抜粋)

(目的)
■ 第1条 
この法律は、労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

(定義)
■ 第2条 
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
(2) 労働者 労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
(3) 事業者 事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。
(3の2) 化学物質 元素及び化合物をいう。
(4) 作業環境測定 作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。

(産業医等)
■ 第13条
第1項
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という)を行わせなければならない。

第2項
産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

第3項
産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。

第4項
事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

■ 第13条の2 
事業者は、前条第1項の事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。

(安全委員会)
■ 第17条 
第1項
事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
(1) 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
(2) 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項

第2項
安全委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第1号の者である委員(以下「第1号の委員」という。)は、1人とする。
(1) 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
(2) 安全管理者のうちから事業者が指名した者
(3) 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

第3項
安全委員会の議長は、第1号の委員がなるものとする。

第4項
事業者は、第1号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

第5項
前2項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

(衛生委員会)
■ 第18条 
第1項
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
(1) 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
(2) 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
(3) 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

第2項
衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第1号の者である委員は、一人とする。
(1) 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
(2) 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
(3) 産業医のうちから事業者が指名した者
(4) 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

第3項
事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。

第4項
前条第3項から第5項までの規定は、衛生委員会について準用する。この場合において、同条第3項及び第4項中「第1号の委員」とあるのは、「18条第2項第1号の者である委員」と読み替えるものとする。

(安全衛生委員会)
■ 第19条 
第1項
事業者は、第17条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。

第2項
安全衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第1号の者である委員は、1人とする。
(1) 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
(2) 安全管理者及び衛生管理者のうちから事業者が指名した者
(3) 産業医のうちから事業者が指名した者
(4) 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
(5) 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

第3項
事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを安全衛生委員会の委員として指名することができる。

第4項
第17条第3項から第5項までの規定は、安全衛生委員会について準用する。この場合において、同条第3項及び第4項中「第1号の委員」とあるのは、「第19条第2項第1号の者である委員」と読み替えるものとする。
(安全管理者等に対する教育等)

■ 第19条の2 
第1項
事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。

第2項
厚生労働大臣は、前項の教育、講習等の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

第3項
厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。

(国の援助)
■ 第19条の3 
国は、第13条の2の事業場の労働者の健康の確保に資するため、労働者の健康管理等に関する相談、情報の提供その他の必要な援助を行うように努めるものとする。

(健康診断)
■ 第66条 
第1項
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。

第2項
事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

第3項
事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

第4項
都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。

第5項
労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診 断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

(自発的健康診断の結果の提出)
■ 第66条の2
午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であって、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第5項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。

(健康診断の結果の記録)
■ 第66条の3
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第66条第1項から第4項まで及び第5項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
■ 第66条の4
事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

(健康診断実施後の措置)
■ 第66条の5
第1項
事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)第7条第1項に規定する労働時間等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講じなければならない。

第2項
厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

第3項
厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

(健康診断の結果の通知)
■ 第66条の6
事業者は、第66条第1項から第4項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(保健指導等)
■ 第66条の7
第1項
事業者は、第66条第1項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断又は第66条の2の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

第2項
労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果及び前項の規定による保健指導を利用して、その健康の保持に努めるものとする。

(面接指導等)
■ 第66条の8
第1項
事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。

第2項
労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

第3項
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

第4項
事業者は、第1項又は第2項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

第5項
事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。
 
■ 第66条の9
事業者は、前条第1項の規定により面接指導を行う労働者以外の労働者であって健康への配慮が必要なものについては、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(病者の就業禁止)
■ 第68条 
事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

(労働基準監督官の権限)
■ 第91条 
第1項
労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。

第2項
医師である労働基準監督官は、第68条の疾病にかかった疑いのある労働者の検診を行なうことができる。

第3項
前2項の場合において、労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。

第4項
第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(労働衛生指導医)
■ 第95条 
第1項
都道府県労働局に、労働衛生指導医を置く。

第2項
労働衛生指導医は、第65条第5項又は第66条第4項の規定による指示に関する事務その他労働者の衛生に関する事務に参画する。

第3項
労働衛生指導医は、労働衛生に関し学識経験を有する医師のうちから、厚生労働大臣が任命する。

第4項
労働衛生指導医は、非常勤とする。

(健康診断等に関する秘密の保持)
■ 第104条 
第65条の2第1項及び第66条第1項から第4項までの規定による健康診断並びに第66条の8第1項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。

(厚生労働大臣の援助)
■ 第107条 
厚生労働大臣は、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医、コンサルタントその他労働災害の防止のための業務に従事する者の資質の向上を図り、及び労働者の労働災害防止の思想を高めるため、資料の提供その他必要な援助を行うように努めるものとする。

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労働安全衛生法施行令(抜粋)

(安全管理者を選任すべき事業場)
■ 第3条
法第11条第1項の政令で定める業種及び規模の事業場は、前条第1号又は第2号に掲げる業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用するものとする。

(衛生管理者を選任すべき事業場)
■ 第4条
法第12条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
(産業医を選任すべき事業場)
■ 第5条
法第13条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。

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労働安全衛生法規則(抜粋)
(衛生管理者の選任)
■ 第7条  
法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
(1) 衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。
(2) その事業場に専属の者を選任すること。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第10条第3号に掲げる者がいるときは、当該者のうち1人については、この限りでない。
(3) 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。
イ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 第1種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第10条各号に掲げる者
ロ その他の業種 第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第10条各号に掲げる者
(4) 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。
事業場の規模(常時使用する労働者数)

衛生管理者数
50人以上 200以下 1人
200人を超え500人以下 2人
500人を超え1000人以下 3人 
1000人を超え2000人以下 4人
2000人を超え3000人以下 5人
3000人を超える場合 6人

(5) 次に掲げる事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者とすること。
イ 常時1000人を超える労働者を使用する事業場
ロ 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則 (昭和23年厚生省令第23号)第18条 各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
(6) 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号 、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあつては、衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任すること。

第2項
第2条第2項及び第3条の規定は、衛生管理者について準用する。

(衛生管理者の選任の特例)
■ 第8条  
事業者は、前条第1項の規定により衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、同項の規定によらないことができる。

(共同の衛生管理者の選任)
■ 第9条
都道府県労働局長は、必要であると認めるときは、地方労働審議会の議を経て、衛生管理者を選任することを要しない2以上の事業場で、同一の地域にあるものについて、共同して衛生管理者を選任すべきことを勧告することができる。

(衛生管理者の資格)
■ 第10条  
法第12条第1項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次のとおりとする。
(1) 医師
(2) 歯科医師
(3) 労働衛生コンサルタント
(4) 前3号に掲げる者のほか、厚生労働大臣の定める者

(衛生管理者の定期巡視及び権限の付与)
■ 第11条  
第1項
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

第2項
事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

(産業医の選任)
■ 第13条
第1項
法第13条第1項 の規定による産業医の選任は、次に定めるところにより行なわなければならない。
(1) 産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。
(2) 常時1000人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、その事業場に専属の者を選任すること。
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄リン、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務
(3) 常時3000人をこえる労働者を使用する事業場にあっては、2人以上の産業医を選任すること。

第2項
第2条第2項の規定は、産業医について準用する。ただし、学校保健安全法 (昭和33年法律第56号)第23条 の規定により任命し、又は委嘱された学校医で、当該学校において産業医の職務を行うこととされたものについては、この限りでない。

第3項
第8条の規定は、産業医について準用する。この場合において、同条中「前条第1項」とあるのは、「第13条第1項」と読み替えるものとする。

(産業医及び産業歯科医の職務等)
■ 第14条  
第1項
法第13条第1項の厚生労働省令で定める事項は、次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
(1) 健康診断及び面接指導等(法第68条の8第1項に規定する面接指導(以下「面接指導」という。)及び法第66条の9に規定する必要な措置をいう。)の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
(2) 作業環境の維持管理に関すること。
(3) 作業の管理に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
(5) 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
(6) 衛生教育に関すること。
(7) 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

第2項
法第13条第2項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
(1) 法第13条第1項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
(2) 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
(3) 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
(4) 学校教育法 による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
(5) 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

※ 上記の一定の研修とは、次のものを指します(平成8年労働省告示第80号参照)
(1) 日本医師会又は都道府県医師会が開催する産業医研修(郡市区医師会、大学医師会のほか一部の公益法人等が、都道府県医師会等と共催により開催する産業医研修も該当します。)
(2) 産業医科大学が開催する産業医学基本講座

第3項
産業医は、第1項各号に掲げる事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができる。

第4項
事業者は、産業医が法第13条第3項 の規定による勧告をしたこと又は前項の規定による勧告、指導若しくは助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

第5項
事業者は、令第22条第3項の業務に常時50人以上の労働者を従事させる事業場については、第1項各号に掲げる事項のうち当該労働者の歯又はその支持組織に関する事項について、適時、歯科医師の意見を聴くようにしなければならない。

第6項
前項の事業場の労働者に対して法第66条第3項の健康診断を行なつた歯科医師は、当該事業場の事業者又は総括安全衛生管理者に対し、当該労働者の健康障害(歯又はその支持組織に関するものに限る。)を防止するため必要な事項を勧告することができる。

(産業医の定期巡視及び権限の付与)
■ 第15条
第1項
産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

第2項
事業者は、産業医に対し、前条第一項に規定する事項をなし得る権限を与えなければならない。

(産業医を選任すべき事業場以外の事業場の労働者の健康管理等)
■ 第15条の2  
第1項
法第13条の2の厚生労働省令で定める者は、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師とする。

第2項
事業者は、法第13条第1項 の事業場以外の事業場について、法第13条の2に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるに当たつては、労働者の健康管理等を行う同条 に規定する医師の選任、国が法第19条の3に規定する援助として行う労働者の健康管理等に係る業務についての相談その他の必要な援助の事業の利用等に努めるものとする。

(安全委員会の付議事項)
■ 第21条  
法第17条第1項第3号の労働者の危険の防止に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。
(1) 安全に関する規程の作成に関すること。
(2) 法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
(3) 安全衛生に関する計画(安全に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
(4) 安全教育の実施計画の作成に関すること。
(5) 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は産業安全専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の危険の防止に関すること。

(衛生委員会の付議事項)
■ 第22条  
法第18条第1項第4号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。
(1) 衛生に関する規程の作成に関すること。
(2) 法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
(3) 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
(4) 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
(5) 法第57条の3第1項及び第57条の4第1項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
(6) 法第65条第1項又は第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
(7) 定期に行われる健康診断、法第66条第4項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第66条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
(8) 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
(9) 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
(10) 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
(11) 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

(委員会の会議)
■ 第23条
第1項
事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月1回以上開催するようにしなければならない。

第2項
前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める。

第3項
事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によって労働者に周知させなければならない。
(1) 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
(2) 書面を労働者に交付すること。
(3) 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

第4項
事業者は、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。

(関係労働者の意見の聴取)
■ 第23条の2
委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

(雇入時の健康診断)
■ 第43条
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
(1) 既往歴及び業務歴の調査
(2) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1000ヘルツ及び4000ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第1項第3号において同じ。)の検査
(4) 胸部エックス線検査
(5) 血圧の測定
(6) 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
(7) 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
(8) 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
(9) 血糖検査
(10) 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
(11) 心電図検査

(定期健康診断)
■ 第44条  
第1項
事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
(1) 既往歴及び業務歴の調査
(2) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
(4) 胸部エックス線検査及び喀痰検査
(5) 血圧の測定
(6) 貧血検査
(7) 肝機能検査
(8) 血中脂質検査
(9) 血糖検査
(10) 尿検査
(11) 心電図検査

第2項
第1項第3号、第4号、第6号から第9号まで及び第11号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。

第3項
第1項の健康診断は、前条、第45条の2又は法第66条第2項前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

第4項
第1項第3号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(1000ヘルツ又は4000ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

(満15歳以下の者の健康診断の特例)
■ 第44条の2
第1項
事業者は、前2条の健康診断を行おうとする日の属する年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。以下この条において同じ。)において満15歳以下の年齢に達する者で、当該年度において学校保健安全法第11条又は第13条の規定による健康診断を受けたもの又は受けることが予定されているものについては、前2条の規定にかかわらず、これらの規定による健康診断(学校教育法による中学校又はこれに準ずる学校を卒業した者に係る第43条の健康診断を除く。)を行わないことができる。

第2項
前2条の健康診断を行おうとする日の属する年度において満15歳以下の年齢に達する者で、前項に規定する者以外のものについては、医師が必要でないと認めるときは、当該健康診断の項目の全部又は一部を省略することができる。

(特定業務従事者の健康診断)
■ 第45条  
第1項
事業者は、第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、第44条第1項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。

第2項
前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において第44条第1項第6号から第9号まで及び第11号に掲げる項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。

第3項
第44条第2項及び第3項の規定は、第1項の健康診断について準用する。この場合において、同条第3項中「1年間」とあるのは、「6月間」と読み替えるものとする。

第4項
第1項の健康診断(定期のものに限る。)の項目のうち第44条第1項第3号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く。)については、第1項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(1000ヘルツ又は4000ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

(海外派遣労働者の健康診断)
■ 第45条の2
第1項
事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

第2項
事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

第3項
第1項の健康診断は、第43条、第44条、前条又は法第66条第2項前段の健康診断を受けた者(第43条第1項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

第4項
第44条第2項の規定は、第1項及び第2項の健康診断について準用する。この場合において、同条第2項中「、第4号、第6号から第9号まで及び第11号」とあるのは、「及び第4号」と読み替えるものとする。

(給食従業員の検便)
■ 第47条  
事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければならない。

(歯科医師による健康診断)
■ 第48条
事業者は、令第22条第3項の業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

(健康診断の指示)
■ 第49条
法第66条第4項の規定による指示は、実施すべき健康診断の項目、健康診断を受けるべき労働者の範囲その他必要な事項を記載した文書により行なうものとする。

(労働者の希望する医師等による健康診断の証明)
■ 第50条
法第66条第5項ただし書の書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を記載したものでなければならない。

(自発的健康診断)
■ 第50条の2
法第66条の2の厚生労働省令で定める要件は、常時使用され、同条の自ら受けた健康診断を受けた日前6月間を平均して1月当たり4回以上同条の深夜業に従事したこととする。

■ 第50条の3
前条で定める要件に該当する労働者は、第44条第1項各号に掲げる項目の全部又は一部について、自ら受けた医師による健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。ただし、当該健康診断を受けた日から3月を経過したときは、この限りでない。

■ 第50条の4
法第66条の2の書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を記載したものでなければならない。

(健康診断結果の記録の作成)
■ 第51条  
事業者は、第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断若しくは法第66条第四項の規定による指示を受けて行った健康診断(同条第5項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第43条等の健康診断」という。)又は法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第5号)を作成して、これを5年間保存しなければならない。

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
■ 第51条の2
第1項
第43条等の健康診断の結果に基づく法第66条の4の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
(1) 第43条等の健康診断が行われた日(法第66条第五項ただし書の場合にあっては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと。
(2) 聴取した医師又は歯科医師の意見を健康診断個人票に記載すること。

第2項
法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づく法第66条の4の規定による医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
(1) 当該健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から2月以内に行うこと。
(2) 聴取した医師の意見を健康診断個人票に記載すること。

(指針の公表)
■ 第51条の3
第24条の規定は、法第66条の5第2項の規定による指針の公表について準用する。

(健康診断の結果の通知)
■ 第51条の4
事業者は、法第66条第4項又は第43条 、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(健康診断結果報告)
■ 第52条
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第6号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(面接指導の対象となる労働者の要件等)
■ 第52条の2
第1項
法第66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前1月以内に面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。

第2項
前項の超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。

(面接指導の実施方法等)
■ 第52条の3
第1項
面接指導は、前条第1項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。

第2項
前項の申出は、前条第2項の期日後、遅滞なく、行うものとする。

第3項
事業者は、労働者から第1項の申出があつたときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。

第4項
産業医は、前条第1項の要件に該当する労働者に対して、第1項の申出を行うよう勧奨することができる。

(面接指導における確認事項)
■ 第52条の4
医師は、面接指導を行うに当たっては、前条第1項の申出を行った労働者に対し、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
(1) 当該労働者の勤務の状況
(2) 当該労働者の疲労の蓄積の状況
(3) 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

(労働者の希望する医師による面接指導の証明)
■ 第52条の5
法第66条の8第2項ただし書の書面は、当該労働者の受けた面接指導について、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
(1) 実施年月日
(2) 当該労働者の氏名
(3) 面接指導を行った医師の氏名
(4) 当該労働者の疲労の蓄積の状況
(5) 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

(面接指導結果の記録の作成)
■ 第52条の6
第1項
事業者は、面接指導(法第66条の8第2項ただし書の場合において当該労働者が受けた面接指導を含む。次条において同じ。)の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。

第2項
前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第66条の8第4項の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。

(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)
■ 第52条の7
面接指導の結果に基づく法第66条の8第4項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後(法第66条の8第2項ただし書の場合にあっては、当該労働者が面接指導の結果を証明する書面を事業者に提出した後)、遅滞なく行わなければならない。

(法第66条の9に規定する必要な措置の実施)
■ 第52条の8
第1項
法第66条の9の必要な措置は、面接指導の実施又は面接指導に準ずる措置とする。

第2項
法第66条の9の必要な措置は、次に掲げる者に対して行うものとする。
(1) 長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者
(2) 前号に掲げるもののほか、事業場において定められた法第66条の9の必要な措置の実施に関する基準に該当する労働者

第3項
前項第1号に掲げる労働者に対して行う法第66条の9の必要な措置は、当該労働者の申出により行うものとする。

(病者の就業禁止)
■ 第61条
第1項
事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第1号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。
(1) 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
(2) 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者
(3) 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者

第2項
事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。

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通達

「専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務することについて」基発第214号(平成9年3月31日)

産業医の選任義務のある事業場における産業保健活動を推進するに当たっては、産業医を中心とした活動が必要不可欠であるが、特に、構内下請事業場等においては、労働態様の類似性等を勘案すると、元請事業場の指導援助の下に産業保健活動を行うことが効率的又は効果的な場合もある。
具体的には、元請事業場等に選任されている専属の産業医(以下「専属産業医」という。)が、当該元請事業場の下請事業場等のうち、産業医の選任を要する事業場(専属産業医の選任を要する事業場を除く。以下「非専属事業場」という。)の産業医を兼務し、当該専属産業医を中心に産業保健活動を行うことにより、非専属事業場の産業保健活動の活性化を期待できる場合もある。
このようなことから、今般、元請事業場等の専属産業医がその職務の遂行に支障を生じない範囲内において、非専属事業場の産業医を兼ねても差し支えない場合の要件を下記のとおり定めたので、関係者への周知を図るとともに、その運用に遺漏のないようにされたい。


専属産業医が非専属事業場の産業医を兼務することができる場合は、以下のすべての要件に該当するものとする。
(1) 専属産業医の所属する事業場と非専属事業場とが、
 [1] 地理的関係が密接であること、
 [2] 労働衛生に関する協議組織が設置されているなど労働衛生管理が相互に密接し関連して行われていること、
 [3] 労働の態様が類似していること、
等、一体として産業保健活動を行うことが効率的であること。
(2) 専属産業医が兼務する事業場の数、対象労働者数については、専属産業医としての趣旨を踏まえ、
   その職務の遂行に支障を生じない範囲内とすること。
(3) 対象労働者の総数については、労働安全衛生規則第13条第1項第3号の規定に準じ、3000人を

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参考資料など

・労働者本人による自己診断のための「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」(厚生労働省)

・メンタルヘルス対策支援センター事業

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